2009年10月14日

ビゲロー考

美術に興味を持ち始めていたときに買った、ボストン美術館の東洋美術名品図録をあらためて眺めてみた。その中の日本美術と中国美術品を概観してみると、フェノロサが収集したものよりビゲローが収集したものの方が量・質とも圧倒的に高い、と思った。


ビゲローは資産家の生まれで、毎週のように多額の利子収入があったそうで、日本に来て美術品を買っても買ってもお金が余って困っていた、とものの本に書いてあった。実際、あまりお金のないフェノロサに資金援助をしている。


お金が有り余っているから、収集品もより優れたものになりそうだけど、手当たり次第に買っても贋物をつかまされるだけだ。これだけの収集品を得るのは並大抵の才能ではないと思う。近代から現代に至る日本美術史の成立および見直しにも耐えうるコレクションと思う。


東洋美術名品図録に戻ると、フェノロサの収集品は頭で集めたもののような気がするし、ビゲローは感性で購入しているように思う。


フェノロサは著書を残しているが、ビゲローにそのようなものはないようだ。日記や書簡も残っていないのだろうか? きちんとしたビゲロー研究が出てくると面白いと思うが、ビゲローを直接知る人は現存していないし、そのお孫さんのくらいの代でもかなり高齢であろう。期待はしたいが、研究はむずかしいだろうな。

Posted by phonon at 2009年10月14日 21:48
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