2007年08月09日

日本文化論であり実用的でもある本

文章読本 (中公文庫)文章読本 (中公文庫)
谷崎 潤一郎

中央公論社 1996-02
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文章論における古典的名著。丸谷才一は「最初の『文章讀本』としてこの種の述作の型を定めた」と書く。
とは言え慎重に読まないと誤解を生じてしまう箇所が少なくなく、「文章に実用的と藝術的との区別はないと思います」は誰が読んでもおかしい。日常の文章を『春琴抄』や『盲目物語』のようには書かない。本書では繰り返し文章における感覚的要素、字面や音調について著述家の文章を引いて説明しており、最後の「含蓄について」に至って、これは谷崎の日本文化論であるということが分かる。


とは言うもののこの書の実用的な価値は高く、本書で述べられている「異を樹てるな」、前後の文脈から判断すると奇を衒わずわかりやすい言葉で書け、という指摘は案外守ることが難しいものの、日常的な文章を書く時の指針としたいと思う。


(以前、Amazonのレビューに書いたものを転載。自分で書いたことが自分で全く守れていない...)

Posted by phonon at 2007年08月09日 19:51
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