2006年01月24日

「造形学概論」の教科書

科目試験の準備のために、造形学概論の教科書を何度か読み返したけれど、あらためて面白い本であると思った。著者の金子助教授が本の冒頭で、「美術という現象をめぐるさまざまな叙述のありようを訪ねて歩く」と書いているように、美学者、美術史家はもちろんのこと、画家、歴史家、科学者、作家など、様々な時代、地域、立場によって書かれた叙述について考察されている。


その中であれっと思ったのが直接美術とは関係ないのだけれど、「第6章 生活からの離脱」で、1934年に日本を訪れた建築家ブルーノ・タウトが、道ばたに大人が平気でしゃがんで休息することに不思議な思いを持った、とある。


戦後もずいぶんと経って、僕の幼少の頃、バス停でおじいさんやおばあさんがしゃがみ込んで待っているのをおぼろげながら覚えている。そんな光景も記憶からなくなった頃に、若者が街中でしゃがみこむようになったけれど、最近はまた見かけなくなったような気がする。
なんでだろうなあとじっくり考える時間などないのだけれど、ちょっと心に引っ掛かったままになっている。

Posted by phonon at 2006年01月24日 18:23
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