2005年09月16日

鮨屋

横浜に引っ越してうれしかったのは、安くてうまい鮨屋があまり苦労せずに見つけられることで、最初に通ったのは野毛のMだった。安くて旨いだけあっていつも混んでいて、夜の6時台であれば席があるのだが7時を過ぎるともうだめで、虚しく家に帰ることが再三あった。


ある日8時過ぎなのに席が空いていて、運良く店に入ることができた。9時近くなると今まで騒いでいたサラリーマンやOLが次々と席を立ち、9時を過ぎると僕だけになった。そうか、今度来るときは9時過ぎにしよう。


一人でビールを飲み、つまみをつついていると、角刈りでガタイの良い人が入ってきた。そのすぐ後に、初老の男とけばけばしい女の人が入ってきた。初老の男は貧相だったが、顔の映りそうなスーツを着ていた。
角刈りの男は携帯電話で、今○×さんも来ているからみんな来いよ、とあちこちに連絡をはじめた。


10分もすると次々と店に人が入ってくるのだが、みな入り口のところで少し腰をかがめる。時代劇で見る清水の次郎長の「おひかえなすって。」の腕を前に出さないバージョン、と考えていただければよいと思う。あっという間に、店の中の堅気は僕一人となった。


帰りのタクシーの中で先ほどの話を面白おかしく話すと、運転手さんは「何でそんな連中、店に入れるんですかねえ...」。Mにはその後二、三度行ったが、そのうち足が遠のいた。

Posted by phonon at 2005年09月16日 06:13
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コメント

おなじみの鮨屋選びも難しいですよね。

一人で飲むのが苦手な私が、たまに行くのが音量子さんもご存知の荻窪S寿司。
正直云って寿司は大して旨くはないが話が面白いんです。
なんといっても大将の会話術に魅入られます。
客層も年配の方が多いので、話題は古め。
新しいものといえば「安保闘争」の時代(^^;
文学・歴史の勉強にはもってこいの店です。
東洋美術史ならイケるかも?!

Posted by 同期F at 2005年09月16日 20:37

教授、

S寿司行きましたねえ。何年前になるでしょうか。

荻窪と言えば今はなき根本鮨、閉店して残念でしたね。最後の頃、直木賞作家の出久根達郎がちょくちょく来ていて、閉店した後、日経の夕刊コラムに根本のことを書いていました。

教授が言うように、寿司屋を気に入るポイントには、店主の人柄もありますよね。

Posted by 音量子 at 2005年09月16日 21:46
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