2005年09月09日

Kさんのこと

世の中がミレーニアムなどとさわいでいた年に、企画のBとクリエーター向けサイトというものをつくった。Bがビジネスモデル(死語?)を考え、僕が技術全般の責任を持つことになった。
困ったのが、Bも僕も美的創造力に全く欠けているということで、そこで当時売れっ子だったクリエーターのKさんを引っ張ってきた。KさんにはWebデザインやユーザインターフェイスを考えてもらうことにした。


プロトタイプのプレゼンは青山であった。プレゼンルームにはデザイン事務所のお歴々も集まっていて、そのなかでKさんのプロトタイプの説明が行なわれた。
考えていたことが形になっているのを見て、僕は素直に感激していたが、Bはさすがに企画の人間でいろいろ注文を付け始めた。「そのデザインのテイストは...」などという言い方もした。
そうか、こういう時には「テイスト」という言葉を使えばよいのだな。
Bは細かいところまで指示を行い、急ぐようKさんに依頼した。僕自身は何も言わないのもばつが悪いと思い、usabilityについてちょっとだけ意見を付け加えた。


Bが電話で中座しているときに、疲れた顔をしたKさんは僕に近寄って来て「音量子さん、この3日間寝てないんすよ...」と小声で言うので、僕はさらに小声で、「すまん、もう3日間寝ないでくれ」。ずいぶんとひどいことを言ったものだが、僕らも必死だったのだ。


その後、仕事が基礎的な技術開発に移り、クリエーターやデザイナーという人とも疎遠となったが、Kさんからは時々連絡があった。ムサビに進学するときも、Kさんからアドバイスを貰った。

Posted by phonon at 2005年09月09日 05:42
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