2007年10月15日

音量子 奈良の旅 7 -Bland New-

はじめて薬師寺を訪れたのは96年の夏で、近鉄西ノ京駅は古ぼけた土埃っぽい駅舎で、そこを出てすぐの薬師寺の入口は今は立派な門が建っているけれど、そのときは裏木戸を開けてすぐの小さい小屋で拝観券を買った記憶がある。僕が境内に入ったときは2、3人拝観客がいたけれど、帰る頃は僕ひとりになった。
最近の薬師寺の隆盛は目を見張るもので、毎年何か建造物ができているのではないだろうか。また、よほどの閑散期でも参拝客が1人ということもないだろうと思う。


話を右京から外京に変えて、新薬師寺は薬師寺とはなんの関係もない。薬師寺は7世紀末天武天皇の発願で宗派は法相宗、新薬師寺は天平期光明皇后の発願と言われる(現在は華厳宗)。「新」は新たかな薬師寺と言われるけれど、こちらも諸説あるようだ。
天平期の本堂は世評が高く、屋根のやさしい線が美しい。一木彫の薬師如来は傑作として名高いけれど、幼児が絵に描くようなぎょろっとした目と丸い顔かたちが気に入らない。十二神将の躍動感については言うまでもないと思う。


先々月だったか、62歳の副住職がお金の事で92歳の父親の住職を訴えたニュースを読んだけれど、その後どうなっただろうか。像の修理がどうだとかが発端となったと記憶しているけれど、住職父子は本堂の薬師如来に癒されることはなかったのだろうか。

Posted by phonon at 2007年10月15日 05:45
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