2006年03月15日

『造形学研究』におけるヌードのへそ

ムサビ通信に入学したのは、入学相談会で酒井教授からいろいろ話が聞けたからで、美術大学における研究の魅力や本質について詳しく説明をいただいた。その時はなんとなく話が弾んで、ずいぶんと長く話をしたように思う。


酒井教授の話の中で一つだけ「ハテナ?」と思ったことがあって、造形研究コース4年の教科書を持って来られて、そこにある『ヌードのへそ』という論文を指し示し「西洋の画家と日本の画家が描く臍は違うんですよ、面白いでしょ?」と言われた。僕は「そのような枝葉末節な事柄が面白いですか?」という言葉が喉元まで出かかった。


今、『造形学研究』の教科書が手元にあって、ヌードのへその論文を読むと、確かに面白い。洋画では古典主義の影響から、やや膨らんだおなかの中央に小さくへそを描く。日本の近代洋画家は、洋画の技術を学んでいく過程で、へそに限らず日本人の体格までも西洋化して描き…、というふうに論旨が続いていく。
金子助教授の言葉を借りて表現すると「全体構成が堅固で、資料分析に即し、結論とその理由が明確に提示された」論文であると思った。

Posted by phonon at 2006年03月15日 21:45
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