小説::手羽殺人事件 2号館

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手羽殺人事件「猫は見ていた -魔の80周年-」 第2話

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1号館

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刑事「ムサビ日記メンバーを調査してほしいのです

竹林「調査って・・・どういう意味ですか?それって刑事さんの仕事じゃないんですか?」

刑事「この事件には難しい点が3つあります。まず一つはブログサイト上のメンバーが捜査線上にあるということ」

minx「それが何か?」

刑事「普段からお互いをハンドルネームで呼んでるそうですね?基本的に顔も知らないんですって?」

竹林「まあ、そうなんですが・・」

刑事「手羽さんのブログにも『メンバーの顔が分からなかった』と書いてありました。そのハンドルネームの人の本名と連絡先を把握してるのは誰ですか?」

竹林「ある程度は僕やおきなまろさんも知ってますけど・・・全員の本名と連絡先を知ってるのは手羽さんだけです」

刑事「そうなんです。そのハンドルネームが誰なのか、特定することが極めて難しい。匿名性の高いネットを使った巧妙かつ、現代的な犯罪といえます」

minx「他の2つは?」

刑事「2つめは、大学内で起きたこと。私達が学内をうろちょろ聞き込みをしては目立って仕方ない」

竹林「確かに。そんなボロボロのコートを着た学生や教職員はいない・・・」

minx「この狭い世界だと、『刑事に質問された』というのが周りに広がるだけで、2chとかで犯人扱いされるでしょうね」

刑事「3つ目は、容疑者が学生であること。場合によっては未成年の可能性もあり、調査にはかなり気を使って動かないと後々大変なことになってしまうのです」

竹林「で、私達がやるべきことは?」

刑事「ここからが本題です」

minx「え。まだ本題じゃなかったの?手羽さん並に前置きが長い人だなあ・・」


刑事「ムサビ日記のメンバーに昨日のアリバイと動機を聞いて回ってほしいのです」

竹林「と、いうと?」

刑事「昨日1日何をしていたのか。どこにいたのか?それを証明できる人はいるのか?何か動機はないか?といった具合に」

minx「2つ聞いてもいいですか?」

刑事「どうぞどうぞ」

minx「昨日って水曜日で平日ですよね?他の法人企画室スタッフは出勤してなかったの?」

刑事「この日は理事会で全員新宿サテライトに直接向かって、そのまま解散したそうです。手羽さんだけ他の急ぎの仕事が入ってて、この日は鷹の台勤務だったとのこと」

minx「もひとつ。旦那さんが帰ってこなかったら普通奥さんが心配しますよね?家族から連絡はなかったの?」

刑事「はい。先ほど判明したのですが、奥さんは子どもを連れて札幌へ里帰りをしてたんだとか。手羽さんの仕事の繁忙期はそうしてるそうです」


全て想定内の質問だったのか、刑事は何も見ずに説明をした。
竹林とminxは刑事から簡単な捜査レクチャーを受け、入学センターに戻った。


竹林は席につく。
隣の2号館からはカーンカーンと石彫場で石を叩く音がする。


大変なことになった。
手羽さんを殺した犯人がムサビ日記メンバーにいるかもしれない。
そんなはずはない・・と思いたいが、あそこまで自信をもって刑事から言われたのでは反抗しようがない。
無実を証明するためにみんなに聞くのだ。
竹林は決心した。

竹林「まずはこの人だな・・・」


竹林は左斜め前に座って作業をするおきなまろさんに質問をした。

竹林「おきなまろさんって昨日は非番だったよね?」

おき「ええ」

竹林「昨日は何をしてたの?




つづく。

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この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。

投稿者:ichiro : 2009年04月22日 02:52

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こんにちは。 売られたケンカ買います。無茶振りも料理します。ボロが出そうになっ... [続きを読む]
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