研修「MUSA」 -手羽編2−

「研修MUSA」のおさらいです。

■問題:
あなたはムサビの木炭デッサン試験会場に不時着しました。数分後に実技試験を受けなくてはいけません。周りを見渡すといくつかの道具が落ちていました。木炭デッサンを描くために使えそうなものを順位付けしなさい。

●鉛筆4本
●食パン一斤
●15cm定規
●1m四方の段ボール
●タオル
●ガムテープ
●消しゴム
●携帯用バーナー(キャンプとかで使うやつ)
●インターネットが使える電子辞書
●5000円札

研修『MUSA』 -手羽編1−」で書いたとおり、この中で最優先は5000円札です。

では、5000円がない場合を考えてみましょう。

手羽ならどうするか?


やっぱり2位は鉛筆ですね。
なにはともあれ描くものがないんじゃどうしようもないですから

え?木炭デッサンで鉛筆を使うのは課題違反?はい。もちろん完全な課題違反です。
で、そこで「携帯用バーナー(キャンプとかで使うやつ)」の登場です。これで鉛筆を燃やして炭にしちゃえば木炭のできあがりです。これなら誰も文句を言えません。

あ、くどいですが、「試験会場に不時着しちゃって何も持ってなくてお金もない」というありえない仮定のもとで考えた結果です。実際に試験会場で鉛筆をバーナーで燃やしてたら教室から追っぽり出されますし(笑)、鉛筆の周りには塗料が塗ってあるから、鉛筆を焼いて絵を描けるようなきれいな木炭になってくれる可能性は低い。

鉛筆を選ぶもう一つの理由は、「何も描かないよりは」という判断の元、「木炭デッサン試験なのに全部鉛筆で描く」という最後の手段があるかもしれないからです。
頑張った絵だったら、もしかしたら数点はつくかもしれない。よく勘違いしてる人がいるんだけど、「課題違反=0点」ではなく「課題違反=減点」なんですよ。悪質なものだったら0点になるでしょうけど。
何が言いたいかっていうと、課題違反をしろってことではなく、どうしようもないのならどうしようもない中でベストを尽くすしかない。日本科学技術大学・上田次郎教授もこう言ってます。

なぜベストを尽くさないのか?

4054025285日本科学技術大学教授上田次郎のなぜベストを尽くさないのか
上田 次郎
学習研究社 2004-06-29

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今回はあまり語られない「課題違反」について。

ほとんどの場合は「問題文をよく読まずに課題違反しちゃった」パターンがほとんどで、これほどもったいないものはありません。特に最近のデザイン系の試験問題は複雑なものが多く、よく読まないとどういう意味か理解できないものが増えているように感じます。
思い込みで読み飛ばしてしまうこともよくあること。

先日の研修「NASA」の時、同グループの職員が
「地球に帰るにはやっぱり大気圏突入があるから、必要な道具は・・」
と最初は答えてました。これは「助かる=地球に帰る」という思い込みから発生した間違いで、問題文には「母船が待つ200kmの月面を移動するためには」とちゃんと書いてあるんですよね

実技入試の時は手を動かす時間も大事だけど、問題文をよーーく読むことにも時間をかけた方がいいよ。
何が条件で何がポイントなのか。

投稿者:ichiro : 2007年11月29日 04:08

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