衝動のような病気のような

FOR MUSABI


自転車を漕いでいて急に止まりたくなる瞬間がある。

飽きた。


通学路も駅に行く道も飲食店へ行く道もなんかもう、
ぜんぶぜんぶ 飽きた!


今朝から気づかないふりをしていたものがある。
勘違いだと思い込んでやり過ごせそうな程度の頭痛と喉の痛み。
きっと薬でも飲んで大人しくしてたほうがいい。
でもこのまま家に帰ったらなんだか、そのまま腐ってしまいそうな気がして、
僕は無理矢理駅まで自転車を漕いだ。


乗り物に乗りたい。
できればすっからかんの電車がいい。

ただそれだけの思いで、改札をくぐって、1時間くらい目的も無く電車に揺られて、
出口から一歩も出る事無く 帰って来た。


何か抗いようのない衝動がある。
読書でも甘いものでもおしゃべりでも発散できないものだ。
それをなんとかして外に出さないと生きていけない。


ああ、すごく山に登りたいなあ。長野の家の裏山。
そう思いながら青いシートに腰掛けた。


ひとりになりたいなあ。

本当のひとりになりたい。


喫茶店の「おひとり様」でもなく
キャンパス内の「一匹オオカミ」でもなく

ただの本当のひとり。

大勢の中の一人ではなくて、人から外れた独り。


そう思うのは、大学のざわめきに、通学路の雑音に、
慣れているせいだろうけど。


山なんかに登ることができない今となっては、


絵でも描こうかなあ。
どうせ描くなら、
できるだけ、ひとりよがりなものがいい。

オトギ

投稿者:fantasy : 2012年11月08日 21:53

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