ふさわしい頃合い

FOR STUDENT


染み渡るような寒さに満たされて
世界はほんのちょっと白んで見える。

今日は大学の施設でLDを見たよ
レコードみたいな大きなディスクを、LDって呼ぶらしいね。
不便で大きなディスクだけど、そこになんだか愛嬌を感じちゃった。
チェロ奏者が、架空の牢獄でバッハの曲を弾く映像を見たんだ。
ヘッドフォンをして、薄暗い視聴室でチェロの音を聴いてると
忌まわしい出来事は何もかもすっかり息をひそめて
完璧な生活を遂行してるような気になった

でも実際 何もかも片付いたわけではないんだ。
ものごとには始まりと終わりの「合図」がある。
でもそれは「合図」。
何ものにも気づかれずひっそりと進行していくものは確かにあって
それをふりきるか、ふりむいてしまうのかはそれぞれだけど
背中についた目でしずかに でもたしかに それを知っている。
知りながらもふりむかずに歩いてるんだ
でもいずれ、おそらくそう遠くないうちに
きちんと真正面から向き合わないといけない。
通すべき筋は通さないと 納得いかないから。

誰もいない僕だけの僕の部屋で、今は友人が貸してくれたCDを聴く
やかましいBGMとひんやり冷たいつまさきが
今の気分にふさわしくて 気持ちいい。


オトギ

投稿者:fantasy : 2011年11月28日 22:21

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