ごくささやかな迷惑

FOR WORLD


煙るような細い雨の中を歩いてきた。
パンクした自転車をひきずって、
どこまでもまっすぐな道を
寒くも暑くもない気温の中を
ただただ硬いコンクリートの上を。


すべては流れ作業のようだった。
飲食店が行儀良く立ち並ぶ道路沿い
狭い歩道を 無理して並んで通って行く学生達
いつのまにか沈んだ太陽
時々空を見上げても、そこには何にもありはしなかった
まるで安っぽい黒い画用紙で蓋をされたみたいに
なんにも見えやしなかった。

気に入ってたはずの音楽も、小物も服も
何もかも僕を楽しくはさせなかった
まっすぐでたいらで固い安全な道の上は、どうしようもなく退屈だった。

いつの間にか雨が降っていた
やる気の無い雨だった
雨になりそこなったような細く冷たい水の線だった
折りたたみ傘を広げて雨音を聞くと、
ほんの少し僕は不自由で楽しい気になった。
なんかよくわかんないけど
こういう雨みたいなやつになりたいなあ とさっき思いついた。

オトギ

投稿者:fantasy : 2011年10月21日 22:34

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