きゅっきゅぽんとあの地震 の巻

もお みなさん すっかりお忘れかと思いますが

先週の金曜日、茨城県沖でけっこう大きな地震がありましたね
最大震度は4で いわき市で観測されたはずである


津波の心配のないこの手の地震には
どこか慣れてしまっておっそろしいのだが、


この日の地震は きゅっきゅぽんは覚えているのである

なぜなら

きゅっきゅぽんは その瞬間を

最大震度観測地である 福島県いわき市におったからである

ブルルルルルルルルルル


きゅっきゅぽんは いわき駅にいて
構内から 常磐線の線路をボヘー っとながめているところに


ゴオオオオオオオとすんごい音がして
足下がぐにゃりとなった感じを受け 「ややっ」 と思った

ものすごく大きい


きゅっきゅぽんは恐ろしくなって
周りの人々の様子を見ると 皆 何事もなかったかのように
普通にゆきかっている


ややや もしかして今のはきゅっきゅぽんの幻覚だったのか?

と思っていると 小走りで駅員さんが 線路を確認しに行って
すぐにもどってきて


「ただいま 地震がありましたが 電車は通常どおりうんこうしまーす」

といって 室内に入った

な・・・・・

なんたる強さ! 

いわき駅構内で 心臓がドッキンドッキンしているのは
どうやらきゅっきゅぽんだけのようであった

はて

なぜきゅっきゅぽんは いわきにいたのかと申しますと


ナントイウカ・・・ 日帰りの旅(旅とはおおげさな)をしていたのです

東京駅から いわき号(バス)で3時間


きゅっきゅぽんはついに福島にやってきた!!!

実は きゅっきゅぽんは以前から被災地に行こうと思っていたのである


ボランティアとかではなく、ただ 現状を知りに 行く

きゅっきゅぽんはそう思って 半年前そういうことを友人に話したら
おこられてしまった

現地の人のことを考えたら、ボランティアでもないのに
見に行くとか・・・考えろとおこられてしまった


たしかにそうだと思い きゅっきゅぽんは行くのをやめた


でも、きゅっきゅぽんは いわきにやってきた

きゅっきゅぽんは考えたが 答えがよくわからなかった
しかし ずっと 心のどこかで つっかえていたんである
そんな折、 卒展を観に来てくれた
同郷の学芸員実習仲間が 同じような思いで行ってきたと言うので
きゅっきゅぽんも 勇気をもらって 行こうとおもったのである

しかし いわきについたとたんのこの地震できゅっきゅぽんは
めちゃくちゃびびって さっそくちびりそうになった

ようやく落ち着いて


常磐線に乗って 久ノ浜 というところに向かう


iwaki01.jpg

調べたら、 この地が 「いわき市復興応援ツアー」(なんと今はそういうものがあるのだ!)
のコースに入っていたのである


ツアーではないが、 はじめての土地、
まったく地理が分からない上に現状もわからないきゅっきゅぽんは
この 久ノ浜 という土地を知って 向かったのである


常磐線の電車は どうやらドアは小さな駅では真ん中しか開閉しないらしい


そういうアナウンスが流れて

きゅっきゅぽんはなぜか
「真ん中の車両しかドアはあかないのだ」とカンチガイして

ほとんど人が乗っていない電車だが わざわざ真ん中の車両まで
移ったのであった

真ん中の車両には なんと


ヤンキーが5人くらい座っていた

きゅっきゅぽんはまたちびりそうになったが


この車両しかドアはひらかんのだ・・・と
カンチガイを突き通して できるだけヤンキー集団から
遠い場所に座ったのであった

ごとんごとんと静かに電車は動き出して
海沿いの景色が流れていく

きゅっきゅぽんはずっと景色を見た


なんか どきどきしていた


きゅっきゅぽんは 九州の生まれで
親戚にも 東北の人間はいない


だから、行ったこともなかったし なじみもないし
実家に帰ってしまえば ほんとうに、あの日の地震のことは
とおくの とおくの出来事になってしまうのだ


また 地震を経験したのも 家ではきゅっきゅぽんだけ・・・というのが
その感じをますます強くした


きゅっきゅぽんの心のつっかえは このあたりからきているのかもしれない

10分ほどゆられて ついに 久ノ浜へついた

そこはICカードが使えず
きゅっきゅぽんは 駅員さんに切符をきってもらう


ちなみにヤンキーたちは前の駅で楽しそうに降りていった

駅は きゅっきゅぽんの地元にあるような
こぢんまりとふるびた いいかんじのたてものである

電車は1時間に一本


このあたりもとても似ている


そして 駅をでて 歩こうと思って 

きゅっきゅぽんは 足をとめた


もう すぐそこに 白い土地がひらけているのが見えたのである


iwaki02.jpg


テレビの映像で観た場所がそこにはあった


けれど、がれきはきれいに片付けられている


でも そのあとから顔を出した建物の基礎が
風景を白い土地に変えていた

写真もとったのだけれど


きゅっきゅぽんのメモがきでのせます

iwaki03.jpg

iwaki04.jpg

iwaki05.jpg

iwaki06.jpg


iwaki07.jpg

きゅっきゅぽんは ここに来て
なにか思うことがあるだろうかとやってきたが


ただただ 目の前に広がる状況を ながめるだけであった

まわりには何人かの方々が様子をみにきていた


きゅっきゅぽんは こんどは切符を買って
また電車にのった


電車には 先ほどのヤンキーたちがおいていったものらしい
マックのゴミやらが残っていた


そのまま いわきへ戻り、いわき湯本温泉まで行き、
あたりを散策しながら 白いたいやきを食べる

駅には 小さな観光案内所があり
中のお兄さんが 東北弁で実に丁寧に立ち寄り湯を教えてくれて
きゅっきゅぽんは イイカンジの温泉につかり 食堂でうまいゴハンをいただいて

そのまま上野までしゅぽっと帰ることが出来るスーパーひたちに乗り込んで
帰ったのであった

あれから一週間

きゅっきゅぽん自身は何も変わっていない


だけれど、 ことあるごとに あの 

白い土地が 脳内によみがえる


きゅっきゅぽんとはつながりがないように感じていた場所、どこか
遠い地方のできごとだった場所に

ちいさな 錨(いかり)がおりたような気がした


いろんな考えはあるけれど、

きゅっきゅぽんにとってこの錨が これからも

あのできごとときゅっきゅぽんを
つなぎとめてくれそうである

投稿者:kkp : 2013年02月17日 01:46

トラックバック


コメント: きゅっきゅぽんとあの地震 の巻

きゅっきゅさま、こんばんは。

卒業までの忙しい時期に、

有意義な体験をされたと思います。

NHKのテレビで、日曜日の午前中にあの大地震の被災地の今の様子や
当時のことを、証言をもとに構成している番組があります。

今日も家にいたから、見ていたんですが。
宮城県の南三陸町で、高台にある中学校まで津波が押し寄せて
先生や生徒が救助に奮闘したことや、撮影しているときに
偶然、その中学生たちに助けられた人が、自分を助けたのがこの子達だってわかったシーンや。
毎回、見ていて涙してしまいますね。

きゅっきゅさまがいらっしゃったいわき市の湯本ですが、

以前友達が住んでいたことがあります。

季節ごとに花の咲く様子や何気ない出来事を知らせてくれていましたが。

きゅっきゅさまが今回の旅のことをこうやって記していることで、
みんなが忘れないんだと思いますよ。

投稿者 yukihaha : 2013年02月17日 17:59

>yukihahaさん

ありがとうございます


ご友人の方がおすまいなのですね

湯本は風情のあるところでした!


そのような番組があるのですね


毎週放映でしょうか

きっと今までは そういう番組を 
どこか無関係な感じを受けながらみたことと思いますが

今は 少し 違います


多分 こういう 心のひっかかりがほしかったのかもしれません

とても 短い時間でしたが
なんだか 強烈な時間だったなあと 思います 

投稿者 きゅっきゅぽん : 2013年02月24日 00:51

きゅっきゅさま、おはようございます。

3月を迎え、卒業までは秒読みですね。

日曜日の番組は毎週放送です。

今日もあるようです。

今朝の新聞には、津波の被害の予測・・最悪の場合にはというハザードマップが載っていますが、

海に囲まれた国の沿岸ということを改めて思い知るのです。

投稿者 yukihaha : 2013年03月03日 08:39

きゅっきゅさん、こんにちは
初めてコメントさせていただきます。
いわき市に住んでいる者です。
子供達の受験騒ぎでしばらくムサビ日記をチェックしてなくて、きゅっきゅさんがいわき市にいらしたことをたった今知った次第です。

あの地震以来、いろいろな思いをしましたが、私の所は幸い被害も比較的少なかった事もあって今はほぼ震災前と同じ様に生活出来ております。

でもあれから2年経つ今でも車で十数分の海岸線まで行けば、きゅっきゅさんが目にした建物の基礎だけ残ったままの場所やひしゃげたままの標識等が見られます。
津波もですが、福島の場合は原発事故の影響が大きく、あの日のまま時間が止まっている地区もあります。

震災後、短大卒業以来20年以上年賀状のやりとりしかしてなかった友人が心配してメールをくれたり水や食料を送ってくれたり・・・人のつながりってありがたいな、と実感したものですが、今回東北には縁の無かったきゅっきゅさんが被災地の事を、被災者の事をずっと心にとめていてくださっていたことを知ってとても嬉しいです。
そしてこれからも心にとめていけるようにと、わざわざいわきくんだりまで来てくださったことがありがたくて、つい長々コメントを・・・すいません。

錨をおろしに来てくれて、ありがとうございました。


p.s. ちなみにうちの長女はムサビ日本画の今度2年生になります。
きゅっきゅさんのガチ後輩でございます。

投稿者 K.yamane : 2013年03月03日 13:44

>yukihahaさん

そうなのですか!

さきほど、ちょうど
震災の様子を特集している番組を見ました

その時にやっと行ってよかったと思いました

今まで分からなかった画面の外側の空気が
今までよりもずっと鮮明に分かるようになりました

>K.yamaneさん

コメント、ありがとうございます!

とてもありがたいです


私は娘さんの先輩だったのですね!


本当に、あの場所に行ったことは
わたしの中で とても深い体験になりました

被災した場所が どんな空気なのか、とても知りたいと思いました


学芸員実習で知り合った仲間が、(同郷です)いわき市に行ったという話をきいたのも とても大きかったです

その友人も、東北にはまったく縁がないのを口にしていました


きっと 縁がなかったからこそ、
一生懸命に 知りたいと思う気持ちも生まれるのだなあと思います


いわき湯本温泉はよい風情でした!!


今度は是非 フラガールさんを見に行ってみたいです!

投稿者 きゅっきゅぽん : 2013年03月07日 01:18

コメントしてください




保存しますか?