空がきれい

FOR MUSABI

作品完成してしばらくは、停止しそこなった電車みたいな気持ちを引きずってしまう。
まだ、展示もしているし、心ここにあらずって感じ。どこにあるんだかしらないけど。

東京では、何もかも動いてるんだろうなあ。
あの展覧会、そろそろ終わっちゃうな。
大学の図書館に行きたかった。
あそこの本屋に行けば、絶対にほしいものが売っているのに。
大好きな喫茶店では、そろそろ春のメニューが始まるかも。
桜が咲いて、アートナイトも終わって、春休みの終わりかけに帰るから、
そっちの友人と会う約束をとりつけることもできないし、
ほしかった評論の雑誌は本屋を探してもないし、
なんだか思いが宙づりになってる。
感動することといったら、空がきれいとか、川があるとか、山が見えるとか、それくらいで。

よく、空の写真ばかり撮ってたときもある。

誰でも思いつくようなことだけど、そのときそのときの感動を見過ごせなくて。
今でもあのときのつまらない写真は携帯のメモリーカードに入ってる。
今日見た空がきれいだった。
山の向こうに吸いこまれそうな、真珠色の夕焼けが、たまらなくきれいだった。
行きたい服屋も展覧会もない僕の町では、
どうもそればかりが大きな感動になってしまう。
それが不幸だとは思わないけど。


オトギ

投稿者:fantasy : 2013年03月26日 23:20

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