覚悟した理由

FOR P&STUDENT


【美術にかかわりたい、と思った瞬間を知りたい!】ってリクエストいただきました

ので、
ちょっとかんがえてみた!


それはね、絵本をつくったときです!

もっと言うなら、その絵本を「これ大好き!」って言ってもらえた瞬間かなあ。

前にも書いたけど、僕は「美術ひとすじでいくしかない!」と確信できるような、
劇的なきっかけに恵まれなかったんだよね。
じれったいくらいだったよ。
だから、【あえてきっかけにするなら】という書き方になるけど、
これだと思う。

というか、「きっかけにするつもりでやったこと」ならたくさんある。


①そういう系のことができる高校に入る
②美術部の部長になる
③美術展の賞をねらう


ってかんじでね。


中学の時点で、なんとな〜く美術の仕事につきたい、と思ってた、って話は以前書いたね。
でもさ、
僕の血筋で美術大学を出てる人は、ひとりもいなかったんだ。

よって、

美術系の「職業を探す」ことはおろか、
美術を「学ぶ」にも 大層な障害が・・・もう目に見えて立ちふさがっててね。
なんとな〜く じゃ美術大学にすら行けない!ってことがわかってたんだよね。

あーどうしよっかなーと思ってた。
美術の授業が多くとれる高校を見つけ出して、
そこに入れるようあれこれ画策はしたんだけど、
演劇部でキャッキャと遊んでたね。笑

問題は、大学だよね。

やりたいことを勝手にやる分には理由はいらない。
でも、人に夢を語るには理由と根拠が必要だ。

それならつくってみよう!


ということで、高校生活の3年間をすべて美術に捧げることにした。


自信がほしかったから。


「僕は美術に賭けるしか無いんだ」って言い切れる自分に【なろう】と思った。
あざといでしょ〜〜〜

まず、美術部に入部した。
僕の高校の美術部は、なんか顧問の先生とか先輩方ががんばってる、と噂に聞いててさ〜
入部したら噂以上だった。
美術部では面白くないやつは無視して、ひとりで毎日デッサンするつもりだったんだけど、
そんな暇なかったね。
そこの学年リーダー・副部長・部長をやったんだ。
まあなんていうか、長くなるから楽しい事しか書かないけど
心労で8キロくらい痩せた!えへ!

で、


個人で、てっとりばやく賞を狙った。
年に一度個人作品を出せるんだけど


①地区展→②県展→③全国展

と、その展覧会の審査で点をもらえるごとに、
規模の大きいところに作品を飾らせてもらえるんだ。


「全国展にまで出展できれば、僕も自分が信じられるかもしれない!」

って思った。

で、まあ1年のときは油絵かいて、無理で。

2年生が出展できるラストチャンス!
ということで張り切って初めての映像作品をつくり!!


美術が大嫌いになりました!!


もうやめてやろうと思いました。


あんなに死にたくなった事は無いね。
生涯で最も死にたかった。本気で。

まあ要は落選したのね。
県展までなら1年も2年も通過したんだけど、それはもう屈辱だった。


周りにも「全国展いってくれ」って言われてて、それもウンザリしたし
映像作品は見まくったけどどうも作品に活かせないし
やりたいことがわかんなくなっちゃって。
早いときは朝7時から放課後7時〜8時くらいまでいるんだけど、
アイデアでなくてずっと泣いてた日とかあったし
(でもまあ、笑顔で部活に顔出して部員に声かけて帰るんだけど)
出展する日の午前中すらひとりで学校の倉庫で泣いたし
(でもまあ、30分くらいで膝を叩いて立ち上がって顔洗って放送室行って完成させた)


「僕には才能なんてやっぱりなかったんだ!」

と思った。

でも、そこで辞めなかった


それで、今度は、賞のためでもなんでもなくって、

「ただ、僕がものづくりをもう一度好きになるために、作品をつくろう」 

と思ったんだ。

それが絵本だった。

2年生のおしまいの、授業作品でね。

あんなにモノをつくるのが楽しいと思ったのは初めてだった。

僕の好きなものをすべてつめこんだ。
好きな絵とか服とかいろいろ引っ張りだして見てた。
本屋さんにも行って、好きだと思った本をなけなしのお小遣いで買ってみたり
図書館に行ってみたり、昔母さんに読んでもらった本を掘り出したりした。

ドキドキしながらつくって。

できた作品を、いろんな人に見てもらった。
みんな、大事に大事に見てくれて。

本気でつくったものを、心から「好き」って言ってもらえた。


そういう瞬間があったから、僕は受験勉強もなんとか耐え抜けたし、
美術大学に入っても胸を張ってプレゼンしたり、
リーダーぶったりできるんだと思う。


賞なんていらなかったんだ。

徹夜したときの眠さや朝4時の寒さ
ひとりでこもった部屋の息の白さ
先生に作品を見せに行くときのドキドキした気持ち
絵本を「見たい」と言ってくれる人の、嬉しそうな目

そういうものが、僕を美術にひきつけてるんじゃないかな。


だから、君が何に悩んでるのかはわからないけど、
もし美術への関わり方に迷ってるなら、つくってみたらいいよ。
「10年後も本当に楽しめるかな」とか、考えないでさ。
目の前の作品のことが好きになれたら、明日もきっと楽しくつくれる。

【今日】と【明日】の積み重ねが、未来なんだから。

オトギ

投稿者:fantasy : 2012年01月08日 20:34

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コメント: 覚悟した理由

ブラボー♡

投稿者 ドラドラ : 2012年01月08日 22:36

私が映像作りたいって思うようになったきっかけは君なんだからね。
オトギの映像見て、私もこんな映像作ってみたいっておもったから今映像作れてんだよ。ありがとう。

投稿者 とうじょう : 2012年01月09日 00:11

次の日に書いていただけるなんて....ほんとにありがとうございます。


好きなものを創る、という1番大事なことを忘れていた気がします。
最近まわりが受験にいい画塾、受かる為の絵など
そういう話ばかりで正直余裕がない気持ちとそんな周りについていけない焦りでいっぱいいっぱいでした。
でも、そこで諦めちゃいけないですよね!
と今日おとぎさんの文を読んで改めて思いました。笑
いつもいつも元気をありがとうございます。

またリクエストすると思いますが、
そのときもどうぞよろしくお願いします。笑

投稿者 ピエロ : 2012年01月09日 03:22

>FOR ドラドラさん
 ご清聴ありがとうございました〜(おじぎ!)


>FOR とうじょう
 なんかすごいグッときた・・・・ ありがとう。
そろそろ僕もあの作品を好きになってやんないとダメだなぁと思った。
でもまだ怖くてみれる気がしないや。


>FOR ピエロさん
 リクエストありがとうでした〜!
 とりあえず、こういう書き方をさせてもらいました。
僕は美術というのは、頭で考える部分と手で考える部分があると思っているので、
頭で考えてて詰まっちゃったときは手を動かすようにしてます。
何かヒントになればいいなあ

投稿者 オトギ : 2012年01月09日 22:09

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