卒展の感想4

昨日、志願者数を公開しました。
2008(平成20)年度 武蔵野美術大学造形学部一般入学試験志願者数
*PDFファイルです。
これについては明日以降書きます。まずは卒展話を終わらせないとね(笑)


昨日、スキップしながら1号館の階段を降りてたら、最後の段へ着地の瞬間に、左足首をグギっと90度ぐらい曲げてしまった手羽です。すこぶる痛いです。
何故この歳でスキップしてたのかは聞かないでください。

卒展が終了しました。

今まで誉めコメントばかり書いてきたけど、それで終わる手羽ブログではありません。



卒展は「時間のかけ方」の差があきらかに出ます。
そりゃ、ムサビといえども、やはり「やっつけ」な作品はありますよ。
作者には言わないだけで、みんな気がついてる。
「これ、1週間ぐらいで描いたでしょ?でしょ?」とか「2年生ぐらいまでだったらそれでいいけど、4年生でしょ?これ、どうすんの?」とか。

時間をかけて作ればいいってもんじゃないのは知ってます。
実際、私の同期で全然学校に来なくて、講評の何日か前に工房にきて、サクっと作品を作る奴がいたんだけど、これがセンス良くてね(笑)
こっちは朝から夜まで毎日制作してるのに、数日で作ったやつに負ける悔しさ。「ああ。これが才能ってやつなんだな」とつくづく感じたことがあります。
ちなみにそいつは某大手ディスプレイ会社に内定・・・もらったけど、卒業延期になりました(笑)
良い子はマネしないように。

また、作品を作る時間が長ければいいってもんでもないです。
調査・研究してる時間や考えてる時間が長い場合もありますし。


やっつけで作っても構いません。それは本人の問題だから。
でも、目立つ場所に置くのだけは勘弁して欲しいのさ。
その作品一つでその建物、そのフロアが影響しちゃうんだもん。
「どこに設置するかは自由でしょ!」と言うのなら、それならちゃんと作ろうよ・・・。
ムサビ生だったら、どこに何をおけば効果的なのか、逆効果なのか、を考える力はあるんだし。


素材に取り組んだ時間が少ないから、例えば「布はでかくなると重くなる(大きさの重さ・空気の重さ)」「鉄は長くなると予想以上にしなる(長さの重さ・鉄の柔らかさ)」「加工されてない鉄は屋外におくと、すごいスピードで錆びる(空気の怖さ)」「タル木は真っ直ぐのように見えるけど、加工しないと直線は出ない(木の特性)」といった、日常生活では気がつかないけど制作してれば気がつく、かなり基本的な素材の知識・経験がないまま作っちゃう。
「あれ?鉄って結構曲がるのね」と気がついた時には講評前日。
「まあ・・しなってるのもアリだよね?」とかなんとか理由をつけて終わり。
それは3年の段階で気がついておこうよ。初めて触る素材ならもっと計画的にやろうよ。

と思うわけです。



卒制展サイトや卒制DMにはこう書いてあります。

制作研究の集大成ともいえる卒業制作・修了制作を・・・」

ここに最大のヒントが隠れているの、気がついてました?

「卒業制作」は「卒業記念に制作しなさい」ではなく、「4年間、あなたは何をやってきましたか?それを表現しなさい」という授業なんです。極端な話、「あなたは22年間、何を感じ、考え、何に取り組みましたか?」と問われてるのが卒業制作。
「基礎造形1」「絵画III」とか普段の授業と同じレベルに考えてちゃダメなのよ。
それに気がついてない人が意外と多いんじゃないかな。


あなたの4年間はたった1日で考えて3日ぐらいで●●と●●を組み立てただけの作品と等価だったんですか?
それだったら、あまりにもムサビの学費は高すぎる。


4年生以外も卒展見た方がいいよ」と書いたのはそういうことなんです。
卒展を見ていない学生さんは同じ過ちを起こすでしょう。




でも、こういうことがちゃんと書けるのは、そうじゃない作品の方が多いし、それを変えられる素質を持ってる学生さんばかりだからです。
やっつけな作品ばかりでダメ学生ばかりだったら、やばくて書けません(笑)
学生さんへの文句を書けるのは、ある意味、ムサビの幸せなのかも。

投稿者:ichiro : 2008年01月30日 05:05

トラックバック