うらやましい悩み

これから書く話は、残念ながら不合格だった方にはちょっとつらい話かもしれません。



この時期になると毎年聞く、なんともうらやましい悩みが2つあります。
1つ目は「現役で受かったけど、ついていけるだろうか?」という悩み。
そして2つ目は「第1志望の学科(大学)に落ちた場合、第2志望の学科にいくか、浪人して来年第1志望を目指すか」という悩み。


まず1つ目の「現役でもついていけるのか」という悩みについて。

私も現役でムサビ彫刻に入りました。確かに最初の半年は彫刻に関する知識が全くないので(粘土の練り方さえ知らなかった・・・)苦労したけど、なんとかやれるもんです。いずれ現役も浪人も関係なくなります。
例えるなら、高速道路に入ってから「あ、一度も高速道路運転したことがない・・・どうしよう」と悩むようなもんです。入っちゃったものは仕方ない。気をつけなくちゃいけないのは高速に慣れてる人(つまり浪人生)に運転を合わせてしまわないこと。自分のペースを守りつつ、なおかつ周りの状況をよく見ておけば大丈夫です。大学生活は平等ですから。


そして、2つめの悩みについて。
第2志望の学科にいくか、浪人して来年第1志望を目指すか。

以下は「美大卒業生」としての私の個人的な意見です。
「広報の手羽」の意見ではありません。




選択肢が東京の私立美大であれば、浪人はせずに第2志望の学科(大学)に行くべきだと思ってます。


もちろん、「いろいろ調べた結果、自分が求めてるものは第1志望のあの学科しかありえない」という方は来年チャレンジしましょう。そして「絶対に後悔しそうだから」というのなら、それを止めることはできません。
でも、「周りの人があっちの方がいいって言ってるから。友達があっちの学科を選んでるから」ぐらいであれば、第2志望の学科に行くべきです。第1志望に選んだ理由を自分で説明できますか?説明できないのであれば、実は浪人して行くほどの価値はないのかもしれない。
条件に「選択肢が東京の私立美大であれば」とつけてます。関西系の美大さんだと話は変わりますし、やっぱり国公立大さんにしかない利点もあります。でも少なくとも「似てる」と思って(もしくは周りに薦められて)併願した学科なんでしょ?それなら、東京の私立美大であればそんなにめちゃくちゃ大きな違いはないんじゃないかと。(細かい違いはあるけどね)


あるムサビ日記メンバーから以前こんな話を聞きました。
「第1志望○○大・第2志望ムサビで、第1志望に落ちてムサビに受かった。でも第1志望大に行きたかったから『浪人して来年頑張ろう』と思った時、多浪経験者の講師から『浪人しても大変なだけ。ムサビに受かったのも何かの縁なんだからムサビに行ってみたら?』と言われ、ムサビに決めた。今思うとナゼあんなに第1志望の大学にこだわっていたのかわからない」

「最後は運と縁」というのは、経験者であれば誰もが「受験といっても、結局最後はそんなもんなんだよね・・・」と感じるセリフじゃないかと。

「浪人するとかっこいい」みたいな空気が美大受験者には少なからずあります。予備校の浪人生を見ると、アウトローぽくてイメージしてた美大生って感じだし、なんか大人みたいだし、デッサンがネ申みたいだし。でもそれはすごく狭い世界の話。
今の世の中、やさしい言葉で書かないといけない風潮がありますが、あえて強く書くならば。


浪人生は浪人生なんです。「かっこいい浪人生」というのはありません。




ただ。浪人生を否定していません。
今後の自分形成に何かしら影響を与える出来事になるのは間違いないので、「人生経験」としてはいい期間だと思います。

投稿者:ichiro : 2007年03月05日 04:46

トラックバック