けもの道

昨日の話の続き。

卵が先か、鶏が先かじゃないけど、
技法が先か、表現が先かという問題は、版画では常について回る・・・ようだ。
言い切れる自信はないので、・・・ようだということで。

よくある話では、表現したいものと版種の技法が噛み合わない。
たとえば、シルクで水彩のような淡い効果を狙う、みたいな。(工夫すれば、できないこともないでしょうが。)
「この版種がやりたーい」と技法から入った場合、よく起こるケース。

私のガリ版にたいするアプローチも、正直に言えばこのケース。
たまたま中古のガリ版を貰い、やってみたら楽しいじゃん、ということで始まったわけで。

最近になって、ようやくドローイングの描き方が分かり、
版でのイメージと合致し始めたので、もう少しガリ版の技法とは仲良くなれると思う。

で、講評時、先生方の賛同意見の一つが
「(現在ではほぼ)誰もやってない技法を、あえて使うことにも意義がある」だった。
ガリ版で有名な人もいますが、ほとんどいないのが現実。

「良い味出てるよ〜」とも言ってもらえた。
銅版とは違う、独特な雰囲気があります。
強いて言えば、垢抜けなくて、ぼよよよーんとした感じ(笑)。
ただし、銅版みたいなお洒落さはない。
でも田舎者のおいらには、こちらの方が脱力系で相性良いんです。
ごめんなさい、銅版の先生。私、ガリ版を選びますわ。

さて、スクーリング終わって帰り道、
たまたまシルクの先生と電車が一緒になったので、いろいろ話ながら帰った。

講評の時も話題になったけど、
版画の主流はもちろん木版と銅版。これで、ほぼ8割を占めている。
あとの2割を、リトとシルクでほそぼそとやっている。
私もついに、その2割の仲間に入ることになったわけだが・・・。
で、先生の歓迎の一言が

「獣道にようこそ」

・・・何ですか?それ。

「シルクって、リト以上に何やってるか分からない版画だから、
別名、版画の獣道って言われてるのよ」

シルクの森には、暗澹たる獣道が延びている・・・らしい。

投稿者:fuka : 2010年10月21日 15:04

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