降りしきる六月。

「久しぶりにきみとごはんでもたべたいな。別にいつでもいいのだけど。」

ランプが光ってそんな文面のメールが届いたとき、
私はひとり自堕落な深夜を過ごしていた。
さっきまで皆でにぎやかにごはんを食べていたばかり。

私も丁度ここ最近、彼とゆっくり話したいと思っていたところだったので
深く考えずに雨の音がする窓に向かって
「ウチおいでよ」
親指を送信ボタンに押し付ける。そんな気分だった。

むせかえるような雨のにおいと、足元をたゆたうようなひやりとした深夜の息遣い。かと思えばこもる室内の鬱陶しい蒸し暑さ。

傘をさして買いに行ったコンビニのプリンや牛乳をテーブルいっぱいにならべて
何も考えず、沈黙も心地好く受け流せる我々は、突発的な深夜の思い付きを笑い合いながら、
色々な話をした。


彼の真摯な製作姿勢に、「この人に認められたい」と思いながら、
恋や将来の話にしみじみとしながら、
夜は更けていった。

上着をはおったので寒いのかと窓を閉めたら、ありがとうと穏やかに笑った
控え目なところもまた彼の長所である。


気が付くとカーテンの隙間は室内のそれより明るく灯っていて、そろそろ、と彼はマグカップを置いた。

思ったより充実した時間に互いに満足しながら、手を振る彼を見送った。


こんな夜もありである。


投稿者:uto2 : 2008年06月29日 22:16

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