猫のホテル『けんか哀歌』@本多劇場

*猫のホテル公式ウェブサイト


役者さんそれぞれが以前からとても好きだったけれど、去年初めて本公演を見てから、もっと好きになった劇団が、猫のホテル。
最近は、池田鉄洋さんがテレビにも出演していたりして、名前を知られているのかな。(ドラマ『医龍』や、タモリ倶楽部なんかにも時々出ています)
去年見たとき、主宰であり、作・演出(出演することも)の千葉雅子さんにとっぷり惚れてしまい、今年の本公演にも足を運ぶことにしました。
チラシの、「そのけんか、来なかったのは軍艦だけ」というキャッチコピーにも、ぐっとひかれる。


お話は、戦後すぐに起こった東宝争議を元にしたもの。
幕開きから、映画『虎の尾を踏む男達』の撮影シーンが出てきて、おお、と思う。(しかも、しっかりパロっている!)
実はこの映画、大学に入ってすぐ、古典芸能論という授業で見たものです。その授業では、前期をまるまる使って能の演目『安宅』とそれにまつわる様々な作品(歌舞伎の『勧進帳』など)を鑑賞していったのですが、『虎の尾を踏む男達』もその一環として見ました。
黒澤明を好きな人にとっては知っていて当たり前だし、もしかしたら美大生としても当たり前なのかもしれないけれど、私はそれまで黒澤明の映画を見たことがなかったので、『虎の尾を踏む男達』はとても印象に残っています。
その映画が、また違う形で自分の前に再現されていることが、とても面白かった。
映画が公開されたころに生きていれば知っているもの、映画が好きであれば知っているもの、それはそうなのだけど、そうでなくても大学の授業で触れることで、その映画を真似たお芝居が面白く見られる。
幸せなことだなあ、としばし思う。


また、このお芝居のモチーフとなった東宝争議は、根っこのところに「レッドパージ」(共産主義者の追放)があります。
私は決して歴史が得意ではない(し、そもそも高校までの日本史や世界史の授業では、1940年代にたどりつくこともなかった)ので、簡単な知識としては「レッドパージ」や「赤狩り」という言葉を知っていても、それがどんなふうに影響を及ぼしていたのか、具体的にどんなことがあったのかまでは、よく知りませんでした。妹尾河童さんの、『少年H』で読んだくらいでしょうか。
大学に入り、法学関係の授業(確か日本国憲法か、表現の自由を扱った授業でした)で『真実の瞬間(とき)』という映画を見て、詳しく知ることができました。
だから、今日の話もよく分かった。そもそものところがよく分かっていないと、なかなか難しい脚本だよなあ、と思う。
大きな時代の流れとまで行かなくとも、当時流行していた物事や言葉、私は知っているものも知らないものもあり、そりゃ前後の流れで理解はできるのだけど、ああ、無知だなあ私、と思いました。


ちょっと、感想。
猫のホテルは、「人間のバカ哀しさ」を描くことをテーマとしていて、目を覆いたくなっちゃう、でもどことなく可愛らしい、そんな人ばっかりが出てくる。
今回のラストも、本当に救いがないというか…でも、強いなあ、とも思ったり。
先を全然読まずに、ぼんやりと見ていたので、おおお、という感じ。
ちょっと意外で、思わず泣きそうになってしまった。役者さん同士の関係性が好きな2人が、こんなことになるなんて…と、虚実綯い交ぜで。


そうそう、途中のちょっとしたダンス?が印象的だなあ、と思ったら、イデビアン・クルーの井手茂太さんの振付だった。


ここから先は、苦言。
今日は開演前に、面白いアナウンスがあった。要約すれば、「携帯の電源を切ってね」ということなのだけど、興味をひくようなアナウンスでとても良かった。(「携帯の電源でもチェックしたらどうだろう」「ここ、どこの会社も(電波)入るんだ」などなど)
ところが、ばっちり時計のアラームを鳴らしてくれちゃった人が1人いて、それ以外にも、開演中ずっとガムや飴を食べている人が、少なくとも2人はいた。何で分かるかというと、包み紙を開ける音に容赦がないから。
劇場が乾燥しているのはよく知っているけれど、飲食禁止って書いてあるし、そのがさがさ音は迷惑以外の何者でもないのだけど…
このところ、こういった人が目立つような気がする。
ガムと飴を食べていた人のうち1人は私のすぐ隣の席で、身を乗り出して見ていた。
もう、わけが分からない…


ではまた明日。
明日と明後日は、『ちりとてちん』の総集編です。たのしみ。


michitori◎hotmail.co.jp(◎→@)

投稿者:torico : 2008年05月04日 21:26

トラックバック


コメント: 猫のホテル『けんか哀歌』@本多劇場

コメントしてください




保存しますか?