授業記録 絵画II 1日目

今日から、芸術文化学科の「絵画II」の授業が始まりました。
履修しているのは基本的に絵画に興味のある人、そして教職課程履修者です。
教職課程履修者は午前中の実技科目に選択の余地がなく、全員3年生で絵画を履修します。(来年度以降は変更があるかもしれませんので、あくまでも参考程度に読んでくださいね)


芸文には、美大受験必須と思われている「デッサン」を経験しないで入学してくる学生が、たくさんいます。
私もそのひとり。ほんの少し、経験がないわけでもないのですが、でも基礎科からみっちりやっていたような人にはとうてい及ばない、そんなレベルの経験です。
絵画IIを履修している中でも、教職課程にいる学生は、わりとデッサンの経験がない人が多いような印象があります。(あくまでも印象で、実際には経験のある人もいます)
もちろん美術が好きだし、美術教育に興味があるから教職課程にいるわけですが、絵画の先生の言葉を借りるなら、一種の「トラウマ」を抱えて絵画IIに臨んでいる学生も、少なくありません。
1年生から教職課程で勉強してきて、いくつか授業を計画したり模擬授業を行ったりする中で、「本当に自分に美術の先生が務まるのだろうか」と悩むことがとても多かったです。
美術教育法の授業で、「今まで出会った中で嫌だった美術の先生」を話す機会があり、そこで「ろくにデッサンも絵も描けない先生」が学生の声としてあがったときは、「まさしく私のことだ」とへこみました。
やはり美術教育法などを教えていらっしゃる先生も、「美大生にはおのおのの制作での専門領域がある」と考えているので(ほとんどの学生は確かに制作を常日頃しているのだから、先生の考えは間違っていないのですが)、いつも肩身の狭い思いをしていました。
春休みを経て、自分の中で「美術教育」や「美術の先生」に対する思いが少し変化してきたのも、また事実です。


だから今日からの絵画IIの授業は、とても気が重いものでした。
教職課程の学生だけじゃないから、周りには絵の描ける人がたくさんいる。私は描けない。
いざモデルさんのポーズが始まっても、何をしたらいいのか分からず、もじもじ。


私はデッサンの基礎であろう、「対象物を紙の中に収める」ことがとても苦手です。
高校でビンをデッサンしていたとき、台に置いたいくつかのビンが紙の中に入りきらず、弱ってしまったことがありました。
仕方ないので、ビンのぺかぺかしているところをひたすら描いていたら、先生が近づいてきて、こう言いました。


「お前はビンのそこが好きなんだな。そこ好きなんだろ?いい、いい。そこを描いてろ」


その先生は私の美術を5年間見てくれた人で、物言いは乱暴だけど、美術が好きな生徒を気にかけてくれる先生でした。
確かに彼は中学や高校の美術で教えてくれるはずの透視図法などなどを教えてくれなくて今困っているわけだけれど、私はあの一言に、救われた気がします。
今日、クロッキーを描いていてそのことを思い出しました。
今日のクロッキーだって紙に入りきるわけがなくて、自分で自分にうんざりしていたのだけど、その言葉をふと思い出して、ほんの少し元気になりました。


もちろん、技術があるにこしたことはないのだけど。


そんなことを考えながら描いていたら、うしろから先生が「ちょっとクロッキー帳見せてみて」と。
おずおずとクロッキー帳を渡すと、ぺらぺらめくる先生。あー、恥ずかしい。いったん手元から離すと、自分の描いたものがとても頼りなく見えます。
一通りクロッキーを見た先生は、ひとこと、言いました。


「だんだん楽しくなってきたころだね」


その言葉は私にとって、高校時代に言われたあの言葉と似ていました。
否定するわけでもなく、肯定するわけでもなく。ただ、投げかけられる言葉。自分の裏側を明らかにされたような言葉。
次はこうやってみて、とアドバイスされ、それでやってみるのが、また楽しい。
まったくもう。好きなんだよね。


今日、特に印象的だったのは、一緒にクロッキーしていた先生の姿です。
学生に混じって描くようすを見て、「ああ、先生は本当に絵を描くのが好きなんだなあ」と、ちょっと惚れ惚れしてしまいました。失礼な思いかもしれませんが。
でも、その姿に励まされたのも、また事実。
家に帰って、よーし、次の授業がある金曜日には、どんな素材を使って描いてやろうかと、以前使った紙や画材を引っ張り出してみました。


ではまた明日。


明日からは、後期から始まるゼミの前段階のような授業が始まります。
こちらも、記録をつけていこうと思います。


michitori◎hotmail.co.jp(◎→@)

投稿者:torico : 2008年04月16日 18:22

トラックバック


コメント: 授業記録 絵画II 1日目

コメントしてください




保存しますか?