リアルな美大の日常を
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介護等体験5.0日目
今日は、デイサービスを1日お手伝い。
午後からは、私たちの企画した「落ち葉の拓本カードづくり」を行いました。
(拓本、とはつまり魚拓の落ち葉バージョンです)
朝、デイに来る人たちをお出迎え。
上着とかばんを預かって、お茶を出してしばしお話。
全員が揃ったところで、別嬪実習生4人として紹介される。
男性陣が「直視できない〜」などと仰る。笑
意外なことに女性より男性の方がおしゃべり。
やっぱり、女の敵は女って、間違ってないのかも、と思ったり。笑
これは後に、本当のことだと分かるわけですが…
午前中は、頭の体操として難しい漢字の読み方のプリントを解いたり(「嚔」って読めますか?私は正直読めませんでした)、12月らしい歌を歌ったり(『勘太郎月夜唄』ってご存知ですか?私は全然知らなかったのですけど、名曲みたいです。氷川きよしくんも歌ってます)。
お昼ごはんとお風呂をはさんで、午後からが私たちの出番でした。
試作に参加できなかった私は、説明係を仰せつかり。
わりと段取りが多いものだったので、いったん説明してもなかなか伝わらず、とりあえず制作にかかってから私たちが机の間を飛び回る。
職員さんにもかなりかなり手伝っていただいて、「何とか完成に持って行けた」という感じでしょうか。
思ったようにはいかないだろう、と予想してはいたけれど、なかなか難しい。
やはり、元気に歩ける方から歩行器を使う方、麻痺がある方など身体的な能力がまちまちなので、まとめていくのが大変でした。
出来る人はどんどん先に進んでしまって、もう飽きた、という感じになってしまう。
中でも私が意識を持って行かれたのは、2人の方だった。
2人とも、読書がとても好きなようで、朝いらした時からずっと本や雑誌を読んでいた。
だから漢字プリントのときもあっという間に出来てしまったし、その後にやった間違い探しプリントもすぐ終わってしまう。
頭がものすごくきれる人たちなのです。
で、お2人に「拓本を作りませんか?」とすすめてみたら、Aさんは渋々、といった感じでやってみてくれたのだけど、説明をあっという間に理解できてしまうので、作品もあっさり出来上がってしまう。うーん、つまらなそう。
Bさんは、のっけから「やらなーい」とひとこと。
何でですか?とうかがってみると、「だってこれつまんないもん」とのこと。
思わず、「ですよねー笑」と言ってしまう。
そうなんです。私たちがやったネタって、実はこういう場ではよく使われているものなんですよね。
本当は(という言い方はものすごく嫌われるけど、とりあえずこの場では使うことにして)、別の交流企画を考えていたのですが、どうしても試作が上手くいかず、成功と失敗が半々くらいの確率だったのです。
で、どうしようかという話し合いをして、失敗してみんなが落ち込んじゃうくらいだったら、必ず成功するものを選んでその中で楽しくしていこう、ということになり、今回の企画が採用されました。
だから、私も何となく「成功はするけれどつまらないかもしれない」という思いはあって、Bさんの言葉に「ですよね」とうなずいてしまったのです。
Bさんは続けて、「だってこれ作って何にするのよ?」と質問。
私は、「台紙に貼りつけてカードにして飾ったり、送ったり…」と答えたのだけど、やはりBさんの答えは、「それはつまんないよ。何にもならないじゃない」。笑
間違ってない!全然Bさん間違ってない!
でもこの辺のさじ加減は、とても難しいなあ、と思いました。
結局、Aさんは1枚作っておしまい、Bさんは別のぬり絵をやっていました。
お2人とも本当はずっと本を読んでいたそうだったから、申し訳ないことをしてしまったなあ、と。
ただ、「やりたくない」という気持ちを言葉や態度で示してくださったのでとてもありがたかった。
やりたくないならやりたくないで、別にいいんだよなあ、と。
「美術でコミュニケーションをはかる」という実習の目的には添っていないかもしれないけれど、「美術でコミュニケーションがはかれない人だっている」ということが理解できる、それだけで何か得たものがあるんじゃないだろうか。
私がもしおばあちゃんになったら、きっと拓本はやりたくないと思う。
だって美術が好きでムサビを卒業して(おそらくするでしょう)、その後もずっと美術と一緒に生きていくのだろうから。
それに、私だって歌を歌ったりなんかしないで、のんびり本を読んでいたいな。
もちろん、デイサービスの目的はそういうことではなくて、家では話せない人と話したり、動かさない部分を動かしたりすることが大事なのだけど、でもやりたくないことを無理にやるくらい、つらいことはない。
職員さんたちも「やりたくない」とおっしゃる利用者さんたちには強要してはいなかったから、そういうものなのだよな、と思う。
もう1人、印象に残ったのがCさんという方。
この方はすごく制作に興味を示してくださるのだけど、「難しい」「分からない」「これで合ってる?」が何度も何度も口から出てくる。
わあ、困ったなあ、正解なんてないんだけどなあ、と思ったとき、ふと手羽さんの日記を思い出しました。
手羽さんが教育実習に行ったときの話。具体的には、この記事のことです。
Cさんは、拓本に使う葉っぱを選ぶのでも、写し取る紙を選ぶのでも、色を選ぶのでも、色を置くのでも、台紙の色を選ぶのでも、どこかに「正解」があると思っている。
おそらく美大生には「美術に1つの正解がある」という考え方がなくて、失敗もそれはそれで味だと思えてしまったりする。
ここで、2人の考えはまったく反対になっている。
でも、私たちの「正解は無限にある」という考えを押しつけてしまったら、Cさんは間違いなく混乱してしまう。
だから私は私なりの考えで、「じゃあ、この葉っぱだったら葉脈がきれいに出そうですね。これにしてみましょうか」「この色だったら葉っぱに似てますよね。この色にしましょうか」「このくらい色がつけばすごくいい感じですね。台紙を選んでみますか?この色とこの色だったらどっちがいいですかね〜」などと、あまり答えを絞らないようにしながら、でもCさんにとって1つの答えが出るように話しかけてみた。
到底、上手くいったとは思えないのだけど、結局3枚もいっしょに作ってしまって、サインまで入れてみて、でもちょっと笑ってくれたので、万事快調ではなかったけど…
あ、こういうことか、と私なりに理解できた。
そんな中でも、「家に帰って孫に見せたら喜ぶぞー」とおっしゃる方や、スタンピングに技法を切り替えて巨匠っぷりを発揮してくださる方など、私たちではできない見せ方をたくさんされていて、おお、すごいなあ、と思った。
で、さっきの「女の敵は女」の話に戻るのですが、女性は私たちがいくら「きれいに出来ましたね〜」と(もちろん本心で)褒めても、全然信用してくださらないんです。笑
女性って、そういうもんだよなあ…
女の子同士で、「その服可愛いね〜」「え〜なんとかちゃんのも可愛いよ〜」って言ったらそれは本心じゃないもんな。苦笑
いやいや、私たちは本心だったのだけど。うーん、難しい。
今日はその後玉入れゲームをして、歌を歌って帰宅となりました。
車をお見送りすると、何だか切ない気持ち。
もう、皆さんと会うこともないのだろうなあ…
今日は楽しかったかな。やっぱりつまんなかったかな。
今となっては聞けないけど、でも今日作ったカードが、お家のどこかに飾られていたらとてもうれしい。
明日からはまたフロアに戻るもよう。
私はちょっとネタを仕込んでいこうかと思います。
うまく行くかなあ…
施設の中の湿度がとても低く、のどがちょっと限界にきている私はつらい。
けれどマスクをしてしまうと表情が見えなくなるので、不利。
結局マスクは外すことになります。うーん、つらい。
ではまた明日。
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