「スカイ・クロラ」感想その4 今すでに起こっている戦争

とくに連続しているわけではないけど一応バックナンバー:
「スカイ・クロラ」感想その1
「スカイ・クロラ」感想その2
「スカイ・クロラ」感想その3 破壊される男の快感


映画「スカイ・クロラ」に対する批判の一つに、「戦争を賛美している」というものがある。

もう少し具体的に言うと、「読○新聞は若者を自衛隊に送り込もうとしている」(笑)という見方である。

まあ○売新聞のことは置いておくとして。
「スカイ・クロラ」を見て「戦闘機すげー!乗りたい!」とはしゃぐ人はあまりいないと思うが(むしろ絶対に乗りたくないと思う人が多いと信じたい)、あの映画が戦争を肯定しているという点はたしかに否定できないと思う。

ただし、「スカイ・クロラ」で描かれている戦争は、観念的な戦争なのである。

それは、これから起こるかもしれない現実の戦争ではなく、今すでに起こっている「システムとしての戦争」である。
つまり、人々が金と権力をうばいあい、強者が弱者をしいたげ、資本家が労働者を搾取し、先進国が発展途上国から利益を吸い上げるようなシステムだ。
(小公女セーラがお金持ちのお嬢様として幸せに暮らせたのだって、そもそもはイギリスがインドを植民地にしていたからである。)
私たちは生まれた瞬間からそのシステムにがっちり組み込まれていて、どうやっても逃げられない。

それが罪深い戦争であることを知っていながらも、生きている限り参加せずにはいられない。
ということをあの映画は語っているのであって、だから鑑賞者は、やがて日本が若者を戦地に送り込むようになるかもしれないという心配をすることはないのである。(それはそれで現実問題として心配なのだが…)

投稿者:nekoaji : 2008年08月28日 08:19

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コメント: 「スカイ・クロラ」感想その4 今すでに起こっている戦争

じゃ、「観念的な戦争」と「これから起こるかもしれない実際の戦争」の関係についてはどうなんですか?

投稿者 : 2008年08月28日 08:38

読売新聞、定期購読しているけれどそんなこと書いてあったっけな?まぁいいや。スカイクロラの中に架空の読売新聞は出てきているけど(苦笑)

個人的には最後の一文の意味がわかりません。
戦争を肯定する訳じゃないけれど、日本は自発的に戦争できないけれど侵略される可能性はあるわけでしょ?日米同盟なんて米国がやばかったら日本は助けなきゃいけないとなっているけれどその逆はない条約なんで可能性は実はあるんだよ。実際、「尖閣諸島はアメリカは守りません」となっているからね。事実、外国からのサイバーテロなんてしょっちゅう起こっているし、日本の警察や外務省が裏向きで戦っていてニュースで報道されていないから実感が沸かないだけだからさ。そういう意味で既に戦地に送られている若者はいっぱいいますよ、情報戦という戦争で。

他にもわかりやすい例で言ったら自衛隊のイラク派遣。あれ、迫撃砲打ち込まれても本当に戦場じゃなかったのかな、とか現場レベルでは中に光学スコープくっつけるような改造施していたみたいだし、個人的には自衛隊の携行火器や、アメリカに給油した際の自衛隊と軍の接触で得られた情報交換などで、戦場における自衛隊のテストケースをとっていたように思えたのですがいかがでしょうか。国会では、アメリカ軍に給油したのは9条違反というぐあいに話題を摩り替えて議論されていましたが。じゃあ軍艦じゃなくて輸送艦だったらいいのか、ってはなしになる。
えーっと何が言いたいかっていうと、何だかんだで戦争しちゃっているんだよ。戦地にも送り込んでいるんだよ。実感が沸いていないだけの話でさ。

あとシステムに関する考察だけれど、ベトナム戦争関連のアメリカとベトナムの関係についてもう少し調べたほうがいいと思う。そうすれば、戦争が単純なものじゃないことがよくわかるよ。あれ、南ベトナムを民主化して北ベトナムの共産化を阻止してビルマなどの共産化を広げるのをとめるためだけじゃないからね。発展途上国から利益を吸い上げるだけの単純な仕組みがもはや通用しなくなった戦争なので。

とたらたら書きました。美大だと戦争に関する議論なんてほとんど出ないから社会に出るまで考えないで済んじゃう(苦笑)

投稿者 ANNWN : 2008年08月28日 09:35

コメントありがとうございます。
しかしパソコンになかなか触れないときにかぎってコメントが来るものだなあ…


ANNWNさんへ

>「観念的な戦争」と「これから起こるかもしれない実際の戦争」の関係
これはそのままの意味、と申し上げるしかありません。


>読売新聞
架空の新聞ということにしてもよさそうなのに、あえてそのままの名前で映画に登場させるというところに引っかかったという意味です。
読売新聞はあの映画の重要なモチーフとして自社名が使われることを許可したということですから。


>最後の一文
うーん…つまり、あの映画はそういう現実の戦争を語るための映画ではないと思うんですよ。
そもそも「戦争のない世界」「ショーとしての戦争」っていうのはファンタジーとしか思えませんよね。
民族紛争とかそう簡単になくなるわけがないし。
キルドレの存在にSF的な説明があるのかなと思ったら全然ないし。

「スカイ・クロラ」が描いているのは、
・現代の若者が抱く漠然とした不安
・自分の知らないところでシステムが動いているという不安
・何か重要なことを知らないままでいるようだという不安
といったものである…と私は解釈しました。
しかもかなり象徴的なファンタジーだと。

だからあの映画をリアルな戦争映画として捉えると肩透かしを食うばかりです。

従って、「スカイ・クロラ」と関連付けて、「現実の」日本や世界の戦争問題を語ることは的外れではないかと思うのです。
(でも連想するとかきっかけにするということは可能だと思います)


>ベトナム戦争関連の…
そうですね。私も全然勉強不足だなあと思います。
いろいろ教えてくれてありがとうございました!今度調べてみます。

投稿者 ねこあじ : 2008年08月29日 22:25

厳しいコメントすみません。ちなみに最初のコメントは僕ではありません。
スカクロの世界は現代日本社会を揶揄している点では評価できますが、途中で押井監督の戦闘マニアっぷりがでちゃっているから曖昧になっちゃった…。「パト2」つくれる人なんだから、ミリタリー押し出しながらも人間のドラマも強く描けるはずなのに残念です。
あとは「ショートしての戦争」これ、どうなんでしょう。韓国やアメリカみたいに兵役のある国ではどうとられるのかなぁ。世界の評価が気になります。その辺の評価は3年ぐらいしたらわかると思うので、今はなんともいえません。

ちなみに映画の中に登場する読売新聞の記事は、パンフの24ページあたりに細かく出ていますが、「ロ社基地空爆 事前通告なかった」「終わらぬ戦争 戦力均衡で泥沼化」といった映画の中で起こった類のものがか書かれています。作ったのは元読売新聞の文化部の記者。朝日じゃなくてよかった…。

投稿者 ANNWN : 2008年08月29日 23:20

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