リアルな美大の日常を
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ネイティブ
人間は授業中の態度によって二種類に分けられる。
「ノートにらくがきをする人」と「しない人」だ。
私がこのことに気づいたのは割と最近で、たしか去年のことでした。
そのとき友人と一緒に授業に出ていた私は、当然のことながら一生懸命ノートをとっていました。隣からもカリカリとシャーペンの走る音が…。おお、お互い熱心なことだな〜と、てっきりその友人もノートを書いているものだと思っていたのです。
そして授業が終わり、友人の方を振り返った私の目に飛び込んできたものは!
……イラスト?
……漫画?
……ていうかこれノートじゃなくてクロッキー帳じゃねーか。
「きみはいったい、ノートも取らず何を描いてるんだ!」
と問い詰めたならば、「ノートは取ってるよ〜絵の隙間に」と悪びれもせず答える。
しかも私のノートを覗きこんで「ゲゲーッ!字がいっぱい!」とのたまう。
いやいやノートに字がいっぱい書いてあるのは当たり前だろと私は思うのですが、彼女はそんなふうにノートを取ることはめったにない、と主張するのです。
かくして上記の結論に至ったという次第。
この二つの分類は、母国語が英語か日本語か、とかそういう問題に近いのかもしれない。
たとえばですよ……学校で何年間も英語勉強してそれなりにできるようになったとしても、英語で独り言言ったり英語で悪態をついたりはしないですよね?つまり、「あ〜あ」とか「よっしゃあ!」とか「今日ホントついてねー」とか「ばーかばーか」とかいう台詞をわざわざ英語では言わないだろうと。でもネイティブの人は言うんだよね。それがネイティブと非ネイティブの差というものです。
らくがきっていうのは、そういう「ネイティブのつぶやき」なんじゃないかなと。
それに気づいたとき、「な〜んだ、そうか」と腑に落ちました。
私にとって絵はネイティブじゃなかったんだ。だって教科書やノートにらくがきするなんて思ってもみなかったんだから。そんな非ネイティブの私がなぜ美大に入れたのかというと……ほら、英会話苦手でも英作文やスピーチは得意っていう人いるじゃないですか。あれですよ多分。そしていつのまにか自分はネイティブだと思い込んでしまった…と。気づいてよかったねえ。