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エミール・ゾラ『制作』を読む(その1)
ゾラの小説『制作』を読みつつ感想を書いてみます。
タイトル:制作
著者:エミール・ゾラ (Emile Zola)
訳:清水正和
出版社:岩波書店 (岩波文庫)
出版年:1999年
原題:L'OEUVRE
原著出版年:1886年
印象派の画家たちのよき友人であったゾラが、自らの体験をもとに書いた小説・『制作』。
19世紀のパリはどんなふうだったのか、人々は何を食べ、どんな服を着、どんな娯楽を楽しんでいたのか……ということがリアルに描かれていて、これを読んでいると100年以上前のフランスがぐっと身近に思えてきます。羊のもも肉とかエイの煮込みの黒バターソースとかデザートのブリチーズとか、食べ物がやたら美味しそうなんですよねー!パズーとシータの卵のっけたパン並みに食欲をそそられます。
主人公はクロード・ランティエという名の画家ですが、この人はポッと出てきたキャラクターではなくて、「ある家系」の一員なのです。つまりゾラは、ある特定の人物から生まれた子孫たちの大河ドラマをシリーズ小説として書き続けたんですね。『居酒屋』も『ナナ』も、この『制作』も、主人公・ヒロインは親戚どうしなんです。「ルーゴン・マッカール叢書(そうしょ)」と呼ばれるこのシリーズは、自然主義作家としてのゾラを代表する作品となっています。
ルーゴン・マッカール叢書の基本コンセプトについては、私が下手な解説をするまでもなく、面白いことに『制作』の中で作者自身が語ってくれます。サンドーズという、どう見てもゾラ自身のようなキャラクターがこんな話をするのです。
「……おれはな、一つの家族をとりあげ、その構成員の一人一人を研究してみようと思っているんだ。彼らがどこから来てどこに行くのか、どのようにして各人が影響しあうか、などを研究する。つまり、一家族という小単位を通しての人間性探求、人間たるもの、いかに成長し、いかに行動するかの研究なんだ。……なお、それらの人物を一つの限定した時代の中に投入し、環境やさまざまの境遇の影響するものを究めて、一遍の歴史を作ろうと思うのだ。それは十五巻か二十巻のシリーズとなるだろう。といっても、各巻それぞれ、独自に完結する物語なんだが、それでも全体として大きな枠組に入っている小説シリーズなんだ。」