ムサビペディア::モチーフ

マ/ヤ行

■モチーフ【(フランス)motif】

  1. 文学・美術などで、創作の動機となった主要な思想や題材。
  2. 音楽で、固有の特徴・表現力をもち、楽曲を構成する最小単位となる音型。動機。
  3. 毛糸編みやレース編みで、いくつかの小片をつなぎ合わせて作る場合、その個々に編んだ小片。 (Yahoo!辞書より)

 

美大用語としての「モチーフ」とは主に2つの意味があります。

1つ目は「絵や彫刻で再現される対象」。難しい表現をしましたが、ドラマ等の美術教室のシーンで台の上にリンゴやら布やらフランスパンやらガラス瓶などが置かれているのを見たことがあると思いますが、それです。それを見ながら油絵を描いたりします。厳密にはイコールではありませんが、普段の会話で使う意味として似てる日本語は「静物」が一番近いかも。「今年のムサ油のモチーフはなんだった?」「よくわかんないけど、カレーが作れそうな野菜がどっさりあった」みたいな会話で使います。だから、試験問題用紙には「モチーフを見て鉛筆デッサンしなさい」と1行しか書かれてないことも。

 

そして2つ目は、Yahoo!辞書に書かれてる「題材や動機」という意味。「●●をモチーフにして作りなさい」と問題文に書かれていれば、それそっくりに描くのではなく、そこから受けた印象を表現します。違う単語だと「テーマ」「イメージ」「想定」が近いかな?「『喜怒哀楽』をモチーフにして平面構成しなさい」といったパターンですね。こういう問題は専門用語で「想定問題」といいます。

今年の工デ・デザインは「楽器」がモチーフ、ということになります。

 

裏ペディア

 

難しいのは、前者・後者、どちらでも意味が通る場合です。モチーフを忠実に描くべきなのか、そこから受けた印象を描くべきなのか。昔だと「モチーフ」の解釈は、デッサンでは前者、デザインや油絵では後者・・・という傾向がありました。これはデッサンでは描写力、デザインや油絵等で発想力を見ることが多かったからなんですが、最近だとデッサンでも発想力、つまり後者の意味として使っている出題も出てきています。「石膏像をデッサンしなさい」という問題が少なくなってきてるのはそういうことも関係しているのかも。

今年の油絵学科・デッサン試験はアロエがモチーフとして置かれているので、素直に考えればその「見えた景色」を描けばいいわけですが、問題文をよく読むとなんとなく後者のイメージが強いように感じました。私が受験生なら想定問題と解釈したかもしれません。あ、私の受けた印象なのであまり気にしないでください。問題文に詳しく描かれていない場合は、「どちらでもいい」と解釈して大丈夫だと思います。

 

それにしても、一般大学の入試は、問題用紙と解答用紙、それと講義机さえ準備すればいいのですが、美大の場合はそれらの物以外にモチーフやイーゼル、キャンバス、それらをセットするスタッフも用意しなくてはいけません。

でも受験料は同じ3万5000円・・・。

投稿者:ichiro : 2006年02月23日 09:29

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コメント: ムサビペディア::モチーフ

今までなんとなくわかったようでわからなかった「〜をモチーフして〜」の意味がよくわかりました。解説ありがとうございます。想像も含みますが、英語で言えばモチベーション(motivation 動機、動機付け)のことかあと思ったらなおさら頭がすっきりとしました。いま仏英辞書サイトでひいたら motif=reason と書いてありますが、reasonもまあ
motivationと同じことですね。

投稿者 テリー : 2006年02月23日 22:51

motif=motivation!!なるほど!!さすが!!


motif=reasonも納得です。

投稿者 広報の手羽 : 2006年02月24日 05:33

入試準備、お疲れ様です。

大学の行事だけでなく、その行事を支える

職員の業務を知ることができて

とてもお得な日記です。いまさらですが。

投稿者 tamapi : 2008年08月11日 05:55